頚椎症

症状は大きく3つに分けられます。

  1. 首・肩甲骨付近の痛みや肩こりなどの症状がでます。首を動かすと痛みが増しますが、手のしびれなどはありません(局所症状)。
  2. 主に片方の首~肩~腕~手にかけての痛み、しびれ、力が入りにくいなどの症状です。これは脊髄の枝(神経根)の障害によるものです。(神経根症)
  3. 両方の手足がしびれたり、動きが悪くなったりします。ひどくなると排尿や排便に異常が出たり、ボタンかけが難しくなる、階段を降りるのはこわくなるなどの症状が出ます。これは首の骨(頚椎)の中を走る太い神経(脊髄)が障害されることによるものです。

頚椎椎間板ヘルニア

椎間板が加齢などで変性し、後方へ突出して起こります。30歳~50歳代に多く、特に誘因がなく発症します。症状としては首や肩甲部、上肢に痛みやしびれが放散したり、ハシが使いにくくなったり、ボタンがかけづらくなったりします。また、足のもつれ、歩行障害が出ることもあります。まれに排尿障害や狭心症に似た胸部痛がみられます。

肩関節周囲炎

中年以降、特に50歳代に多くみられ、その病態は多彩です。関節を構成する骨、軟骨、靭帯や腱などが老化して肩関節の周囲の組織に炎症が起きることが主な原因と考えられています。肩関節の動きをよくする袋(肩峰下滑液包)や関節を包む袋(関節包)が癒着するとさらに動きが悪くなります。(拘縮またが凍結肩)

肩腱板断裂

40歳以上で男性に多く、発症年齢のピークは60代です。肩の運動障害、運動痛、夜間痛を訴えますが、夜間痛で睡眠がとれないことが来院する一番の理由です。運動痛はありますが五十肩と違うところは、拘縮、すなわち関節の動きが固くなることが少ないです。

腰部脊柱管狭窄症

加齢、労働、あるいは背骨の病気による影響で変形した椎間板と、椎骨や椎間関節から突出した骨などにより、神経が圧迫されます。この疾患では長い距離を続けて歩くことができません。もっとも特徴的な症状は、歩行と休息を繰り返す間欠性跛行(かんけつせいはこう)です。背筋を伸ばして立っていたり歩いたりすると、ふとももや膝から下にしびれや痛みが出て歩きづらくなります。しかし、少し前かがみになったり、腰かけたりするとしびれや痛みは軽減されます。進行すると、下肢の力が落ちたり、肛門周囲のほてりや尿の出が悪くなったり、逆に尿が漏れることがあります。

腰椎椎間板ヘルニア

腰や臀部が痛み、下肢にしびれや痛みが放散したり、足に力が入りにくくなります。背骨が横に曲がり(疼痛性側弯)、動きにくくなり、重いものをもったりすると痛みがつよくなることがあります。椎間板は線維輪と髄核でできていて、背骨をつなぎ、クッションの役目をしています。その一部が出てきて神経を圧迫して症状が出ます。椎間板が加齢などにより変性し断裂して起こります。悪い姿勢での動作や作業、喫煙などでヘルニアが起こりやすくなることが知られています。

変形性股関節症

股関節症の主な症状は、関節の痛みと機能障害です。股関節は鼠径部(脚の付け根)にあるので、 最初は立ち上がりや歩き始めに脚の付け根に痛みを感じます。関節症が進行すると、その痛みが強くなり、場合によっては持続痛(常に痛む)や夜間痛(夜寝ていても痛む)に悩まされることになります。患者さんの多くは女性ですが、子供の時の病気や発育障害の後遺症が主なもので股関節症全体の80%といわれています。最近は高齢社会となったため、特に明らかな原因となる病気に罹ったことが無くても年齢とともに股関節症を発症してくることがあります。

大腿骨頭壊死症

股関節のなかの大腿骨の頭の部分を大腿骨頭と呼びます。この骨が死んでしまう病気を大腿骨頭壊死症といいます。原因はまだはっきりとはわかっていませんが、男性ではアルコール多飲、女性ではステロイド(副腎皮質ホルモン)剤の服用に関連して生じることが多いことが分かっています。全く痛みのない時期もあります。ちょっとしたはずみで急に足の付け根が痛くなりますが、2~3週間で落ち着くこともあります。しかし痛みを我慢して放置していると、病気が進行し痛みで歩けなくなることもあります。

変形性膝関節症

男女比は1:4で女性に多くみられ、高齢者になるほど罹患率は高くなります。主な症状は膝の痛みと水がたまることです。初期では立ち上がり、歩きはじめなど動作の開始時のみに痛み、休めば痛みがとれますが、正座や階段の昇降が困難となり(中期)、末期になると、安静時にも痛みがとれず、変形が目立ち、膝がピンと伸びず歩行が困難になります。

半月板損傷

半月は膝関節の大腿骨と脛骨の間にあるC型をした軟骨様の板で内側・外側にそれぞれがあり、クッションとスタビライザーの役割をはたしています。これが損傷すると、膝の曲げ伸ばしの際に痛みやひっかかりを感じたりします。ひどい場合には、膝に水(関節液)がたまったり、急に膝が動かなくなる“ロッキング”という状態になり、歩けなくなるほど痛くなります。

足関節捻挫

捻挫とは、関節にかかる外力により非生理的運動が生じ、関節を支持している靭帯や関節包が損傷することです。足関節では図1の前距腓靱帯が損傷されることが最も多い病態です。靭帯の損傷程度によって、捻挫の程度を三つに分けています。靭帯が伸びる程度の損傷を1度捻挫、靭帯の一部が切れるものを2度捻挫、靭帯が完全に切れるものを3度捻挫と定義しています。

有痛性外脛骨障害

外脛骨は足部過剰骨の中で最も頻度が高く、後脛骨筋腱が付着する舟状骨の内側後方にみられます。正常人の15%前後にみられるといわれており、女性に多く、80~90%は両側性です。発症すると足の内くるぶしの前方足底側に硬い隆起物が触れるようになり、そこを押すと強く痛みます。スポーツ活動の盛んな10~15歳の思春期に発症することが多い足部の障害です。